使用済みハブラシとつめかえパックがガンプラになる。花王・BANDAI SPIRITS・ライオンが回収網を接続
花王・BANDAI SPIRITS・ライオンの3社が、生活用品の回収材をガンプラ「エコプラ」に再生する取り組みを始める。ライオンが集めた使用済みハブラシ(累計33.5トン・約268万本)と、花王・ライオンのつめかえパックが原料になる。第1弾の配布は2026年10月、ららぽーと新三郷。
花王・株式会社BANDAI SPIRITS・ライオンの3社が2026年8月27日、**「くらしのプラでリサイクル!ガンプラプロジェクト」**を発表した。生活用品の回収から出たリサイクル材を、ガンプラ「エコプラ」として再生する取り組みになる。

原料になるのは2種類だ。
- 使用済みハブラシ(ライオンが各ステークホルダーと協力して回収)
- 使用済みつめかえパック、およびその製造工程で発生する端材(花王・ライオンが回収)
3つの回収網をつなぐという設計
この取り組みで面白いのは、新しい回収の仕組みを作ったのではなく、すでに10年前後動いている3つの回収活動を接続した点にある。
| 活動 | 開始 | 累計回収量 |
|---|---|---|
| 花王「リサイクリエーション」 | 2015年 | 約62トン(2026年3月まで) |
| ライオン「ハブラシリサイクル」 | 2015年6月 | 33.5トン/約268万本(2026年5月まで) |
| BANDAI SPIRITS「ガンプラリサイクルプロジェクト」 | 2021年 | 使用済みランナー 約174トン(2026年3月まで) |
ハブラシの回収量が「本数」でも示されているのは、ライオンが1本あたり12.5gで試算しているためだ。同社の資料によれば、国内のハブラシ使用は年間約4.5億本とされる。268万本という数字は、その0.6%程度にあたる。
プラスチックリサイクルで難しいのは、集めることそのものより素材が混ざることだ。ハブラシは柄と毛で樹脂が違い、つめかえパックは複数の層を貼り合わせたフィルムでできている。花王とライオンは2023年に、つめかえパック同士の水平リサイクル(同じ用途への再生)を実現しているが、今回はそれを別の製品カテゴリへ渡すという接続になる。
ガンプラという受け皿
BANDAI SPIRITS 側にはもともと「ガンプラリサイクルプロジェクト」があり、成形時に残るランナー(部品をつなぐ枠)を回収して再生する仕組みを2021年から動かしてきた。そこで再生された素材で作られるのが「エコプラ」だ。
つまり再生材を受け入れて成形できるラインと、それを配る場が先にあったところに、外部の回収網から素材が流れ込む構図になる。リサイクル材の受け皿を用意するのは、集める以上に難しい。品質のばらつきを吸収でき、かつ多少の色味の違いが許容される製品が要るからだ。玩具のランナーはその条件に比較的合う。
第1弾のエコプラは、2026年10月17日(土)・18日(日)にららぽーと新三郷で開かれるイベント「ガンダムR作戦」で、ガンプラ体験キットと特別冊子とともに無料配布される。
公表されていないこと
技術的な部分は、公式リリースにはほとんど書かれていない。
- エコプラの再生プラ配合率: 非公表(「100%再生」といった明記はない)
- リサイクル工程の詳細: 選別・粉砕・ペレット化・混合比率・材料グレードとも記載なし
- 生産数量・配布数量: 非公表
- 品質・物性への影響、CO2削減効果: 定量値なし
- 使用済みハブラシ由来材の樹脂種: 非公表
- 市販化の予定: 非公表
一部の報道で「ペレット化」「100%再生プラ」といった表現が見られるが、3社の公式リリースには該当する記述がない。
再生材を使った製品では、配合率が明示されないケースが少なくない。混合比率は品質と直結し、開示すれば競合に工程が読まれる面もある。ただ、作る側・買う側の判断材料としては、そこが最も知りたい数字でもある。
3社の代表者名(花王 長谷部佳宏氏、BANDAI SPIRITS 榊原博氏、ライオン 竹森征之氏)はリリースに記載されているが、コメントは付されていない。イベント以降の展開についても「各社サイトにて順次お知らせ」とされており、継続的な取り組みになるかは現時点で分からない。
出典
- くらしのプラでリサイクル!ガンプラプロジェクト(花王株式会社 公式) — 2026-08-27
- 同(株式会社BANDAI SPIRITS 公式) — 2026-08-27
- 同(ライオン株式会社 公式PDF) — 2026-08-27