研究と社会

Unitreeが科創板に上場、PER219倍。ヒューマノイドは1年で12.7倍売れ、単価は36%下がった

宇树科技(Unitree)が2026年8月19日、上海証券取引所の科創板に上場した。発行価格150.80元、発行後時価総額は約609億元、発行PERは219.23倍で業界平均の5.7倍。招股説明書によれば、ヒューマノイドの出荷は2024年412台から2025年5,511台へ増えた一方、平均単価は26.04万元から16.64万元へ36.1%下落している。

**宇树科技股份有限公司(Unitree)**が2026年8月19日、上海証券取引所の科創板(STAR Market、コード 688836)に上場した。中国証券監督管理委員会(CSRC)の登録同意は2026年7月1日(证监许可〔2026〕1612号)付。董事長兼総経理は王兴兴氏。

Unitree(宇树科技)

上場条件は次のとおり。

項目数値
発行価格150.80元/株
発行株数4,044.6434万株
募集資金総額609,932.22万元(純額 591,714.92万元)
発行後時価総額約609.93億元
発行PER219.23倍(業界平均の静的PER 38.56倍)

発行PERが業界平均の約5.7倍という水準は、市場がこの会社に何を期待しているかを端的に示している。

台数は12.7倍、単価は36%減

招股説明書(目論見書)に載っている数字のうち、最も読む価値があるのはヒューマノイドの出荷と単価の推移だ。

年ヒューマノイド出荷台数平均単価
2023年5台—
2024年412台26.04万元
2025年5,511台(販売5,215台)16.64万元

1年で台数が12.7倍になり、平均単価は36.1%下がった。 これは量産による価格低下が、報道上の見込みではなく法定開示の数字として確認できる稀な例にあたる。

売上も連動して伸びている。2023年 15,913万元 → 2024年 39,277万元 → 2025年 169,927万元。2025年の製品別構成は四足41.62%、ヒューマノイド 51.78%(86,783万元)、部品6.19%で、四足ロボット犬の会社からヒューマノイドの会社へ主軸が移った年になった。

利益の中身

一方で、収益性の見方には注意が要る。2026年上半期の営業総収入は115,225万元(前年同期比+48.54%)、帰属純利益は27,400万元(前年同期は3,202万元の赤字)で黒字転換している。

ただし非経常項目を除いた「扣非後」の純利益は24,393万元で、前年同期比19.34%減だ。本業の利益率という観点では、規模の拡大がそのまま収益に結びついているわけではない。

これは Unitree に限った話ではない。UBTECH(優必選)の2026年上半期はフルサイズのヒューマノイド売上が前年同期比 1,445.0%増の RMB590.3百万に達し、全体売上も RMB1,269.1百万(+104.2%)と伸びたが、期間損失は RMB338.8百万(前年比23.0%減)で赤字が続いている。XPeng が分社した Dogotix も、2025年に RMB369百万の純損失を計上している。

台数が伸び、単価が下がり、それでも黒字化の道筋は各社まちまち——というのが、この分野の2026年時点の実像になる。

招股説明書に書かれた Tesla

もう一つ、この目論見書には比較材料として引用しやすい記述がある。競合分析の部分だ。

2025 年,海外主要厂商 Figure、Agility Robotics 的人形机器人出货量均在 150 台左右…Tesla 目前尚未公开对外发售人形机器人,其人形机器人目前主要用于公司内部开发测试

Unitree 自身の記述によれば、Figure と Agility Robotics の2025年出荷はそれぞれ150台前後、Tesla はまだ外部販売しておらず社内の開発・テスト用途にとどまる、ということになる。

Tesla の公式資料もこれと矛盾しない。2026年第2四半期のアップデート(SEC 8-K の Exhibit 99.1 で全文照合可能)では、フリーモント工場の Model S / X の製造ラインを撤去して Optimus の第1世代ラインを設置中とし、「まもなく生産を開始する見込み」としている。初期の製造分は「Optimus Academy での学習データ収集」に使うとされ、量産開始日・出荷台数・価格はいずれも公式資料に記載がない。第1四半期の “volume production” という表現が、第2四半期には “production” に後退している点も、進捗の読み方として押さえておきたい。

つまり2026年時点で、実際に外部へ売って台数を積んでいるのは中国勢で、Tesla は設備の設計値(第1世代ラインで年100万台、第2世代で年1,000万台を想定)を掲げている段階、という構図になる。桁は違うが、まだ実績ではない。

日本から見たときに効く数字

日本のロボティクス企業やユーザーにとって、この目論見書で最も実務的な数字は単価16.64万元(およそ350万円前後)だろう。ヒューマノイドを「研究機材」ではなく「導入を検討する設備」として見るときの、現在の相場観がここにある。

ジールスの D1 が1体500万円からという価格設定も、この水準を意識した位置にある。量産による価格低下が1年で36%という速度で進むなら、導入検討のタイミングそのものが判断材料になる。

なお、招股意向書と最終版とで四足ロボットの累計出荷が「超33,000台」と「超30,000台」で記載が異なる点は、目論見書内の表記の揺れとして留意しておきたい。


出典