ArduinoのフィジカルAIコンテストが日本初開催。最優秀賞は40 TOPSの新型ボードVENTUNO Q
Arduino s.r.l. 主催・スイッチサイエンス共催の開発コンテスト「Arduino Physical AI チャレンジ」が2026年9月15日に応募受付を開始する。締切は11月24日、Final Stage進出5作品にUNO Q 4GBモデル、最優秀賞にVENTUNO Qが提供される。
Arduino を使って フィジカルAI の作品を募る開発コンテスト Arduino Physical AI チャレンジ が、2026年9月15日に応募受付を開始する。主催は Arduino s.r.l.、共催は株式会社スイッチサイエンス、運営協力は ProtoPedia を運営する一般社団法人MA。締切は11月24日23:59、最終審査は2027年1月31日。共催のスイッチサイエンスは、Arduino が直接主催する日本初の公式コンテストとしている。

応募条件は純正Arduino製品と3分のデモ動画
公式イベントページが挙げる応募条件は3つ。純正 Arduino 製品を使うこと、ProtoPedia に作品を登録して一般公開すること、3分以内のデモ動画を付けること。応募資格は日本在住者が主体の個人・グループで日本語連絡ができること。未成年は親権者の同意が要る。
審査は2段階。11月25日〜12月1日に主催・共催・運営企業が登録情報を審査して10〜15作品を選び、12月11日19:30からのオンライン公開プレゼンでの関係者投票で Final Stage 進出5作品を決める。基準は「将来性」「独創性」「完成度」で、Final Stage には「発展性(UNO Q の AI 性能の活用)」が加わる。
副賞は現金ではなく基板だ。Final Stage 進出者に Arduino UNO Q 4GBモデル(すでに使っている場合は1万円分のクーポン)、最優秀賞に VENTUNO Q、優秀賞にクーポンが渡る。2026年6月に始まった インド版 が総額300万ルピー超の賞金を掲げたのに対し、日本版は機材提供型だ。
「認識して終わり」ではなく「動かす」までを求める
公式ページはテーマを「現実世界を捉え、AIで考え、その判断を動きへつなげる」と説明し、センサーやカメラの情報を AI で認識・判断して「光る、動く、音を出す、知らせる、制御する」ところまでを求める。一方で「高度なロボットや大規模な AI モデルは必要ありません」とも書かれ、1st Stage で UNO Q を使う必要はない。
Arduino 本体の言葉づかいも同じ方向を向く。VENTUNO Q の発表記事はこの基板を “doesn’t just perceive the world, but interacts with it”(世界を知覚するだけでなく、働きかける)と位置づけ、Qualcomm のリリースも「センサーデータを解釈し、完全にオンデバイスで物理的に応答する」ことを要件に挙げる。クラウドではなく手元での推論と、アクチュエータへの接続が線引きになる。
特別審査員は、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授の 小林茂氏 と、アスラテック取締役・チーフロボットクリエイターの吉崎航氏。小林氏はフィジカルコンピューティング用ツールキット「Gainer」の開発者で『Prototyping Lab』の著者、アスラテックはロボット制御システム「V-Sido」の開発企業だ。
Qualcomm 傘下のArduino、UNO Qは国内9,900円から
Arduino は2005年にイタリアで生まれたオープンソースハードウェアの定番だが、2025年10月7日に Qualcomm が買収を発表した。リリースは Arduino が独立したブランド・ツール・ミッションを維持し、他社製マイコンへの対応も続けると明記している。同時発表の UNO Q は、Linux が走る Dragonwing QRB2210 とリアルタイム制御用 STM32U585 の「デュアルブレイン」構成で、開発環境 Arduino App Lab から エッジAI モデルをワンクリックで載せられる。国内価格はスイッチサイエンスで 2GB/16GBが9,900円、4GB/32GBが13,200円(税込)。
最優秀賞の VENTUNO Q は8月25日に予約が始まった上位機種で、Dragonwing IQ8275 が最大40 dense TOPS、16GB LPDDR5、想定小売価格299ドル。国内は技適取得後の発売予定で、応募者にはまだ国内で買えない基板が賞品になる。
1万円以下の基板が、現場側の入口になる
日本では Arduino は長く学校や大学の授業、メイカースペースの標準教材として使われてきた。小中学生向けの 東大生研の長期研究プログラム のような育成の枠組みと、学習スタックまで Apache 2.0 で公開する399ドルの二足歩行ロボ のような安価なオープンハード。フィジカル AI の入口は両側から増えている。今回のコンテストはその中間にあり、1万円以下の基板と3分の動画で個人・学生・小さな製造現場が同じ土俵に上がれる。大田区の町工場のように検査や異常検知の対象が現場にある事業者には、手元のセンサーとモーターで一度動くものを作るほうが現実的だ。
エッジ側の推論性能が TOPS 単位で語られるようになり、開発ボードの選定はロボット企業だけの話ではなくなった。このコンテストは、その裾野で誰がどんなユースケースを持つかを Arduino と Qualcomm が日本で洗い出す場でもある。
出典
- Arduino Physical AI チャレンジ(ProtoPedia 公式イベントページ / 一般社団法人MA) — 2026-09
- The age of Physical AI is here, and it runs on the Arduino® VENTUNO™ Q board(Arduino Blog) — 2026-08-25
- Arduino VENTUNO Q is Here: Bringing Agentic AI to the Physical World with Qualcomm Dragonwing IQ8 Series(Qualcomm) — 2026-08-25
- Build something real: Join the Arduino Physical AI Challenge India 2026!(Arduino Blog) — 2026-06-10
- Qualcomm to Acquire Arduino—Accelerating Developers’ Access to its Leading Edge Computing and AI(Qualcomm) — 2025-10-07
- A new chapter for Arduino – with Qualcomm, UNO Q, and you!(Arduino Blog) — 2025-10-07
- Arduino UNO Q 製品ページ(Arduino Store)
- Arduino Uno Q - 2GB RAM / 16GB eMMC(スイッチサイエンス)
- Arduino Uno Q - 4GB RAM / 32GB eMMC(スイッチサイエンス)
- [未発売]Arduino VENTUNO Q(スイッチサイエンス)
- 小林 茂 教員紹介(情報科学芸術大学院大学 IAMAS)
- アスラテック株式会社 公式サイト