399ドルの二足歩行ロボ「Microduck」、学習スタックまでApache 2.0で公開。Pollen Roboticsが予約開始
Hugging Face 傘下の Pollen Robotics が、高さ25cm・重さ800gの二足歩行ロボット「Microduck」の予約を2026年8月27日に開始した。399ドルという価格に加え、SDK・シミュレーション・強化学習の訓練スタック一式が Apache 2.0 で公開され、出荷済みの7つの挙動はすべて再学習できる。
Pollen Robotics が、高さ25cmの二足歩行ロボット Microduck の予約を2026年8月27日に開始した。導入価格は399ドル(税・送料別)。同社は2025年4月に Hugging Face が買収したフランス・ボルドー拠点の企業で、Microduck はデスクトップ機 Reachy Mini に続く製品にあたる。

注目したいのは価格そのものより、何がオープンになっているかだ。SDK だけでなく、シミュレーションと強化学習の訓練スタック一式が GitHub に Apache 2.0 で置かれている。
スペックと構成
公式製品ページが挙げる主な仕様は次のとおり。
- サイズ・重量: 高さ25cm、800g
- モーター: 15基
- センサ: カメラ、LiDAR、IMU 2基
- 制御: 方策ループをオンボードで50Hz実行
- 同梱: 本体、バッテリー、USB-Cケーブル、ゲームコントローラー
追加パックは、充電パックが39ドル、開発パックが119ドル、アクセサリパックが39ドル。歩く、くちばしで物をつまむ、転倒から復帰する、しゃがむ、ローラースケートで滑る、といった挙動が出荷時に7つ収録される。
「再学習できる」ことの中身
この機体で実質的に効くのは、7つの挙動がすべて再学習可能な形で提供される点だ。物理シミュレーションには MuJoCo が使われ、シミュレーション内で強化学習によって方策を訓練し、そのまま実機へ載せる流れが公式に用意されている。
この構成が意味するのは、購入者が「メーカーの用意した動きを使う人」ではなく「動きを作る人」になれることだ。従来この価格帯のホビーロボットは、あらかじめ用意されたモーション再生か、良くてサーボ角のスクリプト記述にとどまるものが多かった。シミュレーションから実機への転移(sim-to-real)を含む学習パイプラインごと公開されている機体が、400ドル前後で予約できる例はまだ少ない。
背景には、Hugging Face が進めてきたロボティクス向けライブラリ LeRobot の蓄積がある。同社は2025年4月に Pollen Robotics を買収し、機械学習のモデル共有基盤にロボットのハードウェアを接続する構図を作ってきた。Reachy Mini はその最初の製品で、Hugging Face Hub とネイティブに統合される機体として提供されている。Microduck はこの路線の延長線上で、より安く、より学習寄りに振った製品と位置づけられる。
Hugging Face CEO の Clem Delangue 氏は「オープンソースで手頃なロボットの時代へようこそ」と述べている。
価格・出荷・見ておきたい点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本体 | 399ドル(導入価格、税・送料別) |
| 充電パック | 39ドル |
| 開発パック | 119ドル |
| アクセサリパック | 39ドル |
| 予約開始 | 2026年8月27日 |
| 出荷予定 | 2026年クリスマス前 |
判断材料として足りていない情報もある。連続稼働時間、バッテリー交換の可否と入手性、サーボの寿命と交換部品の価格、LiDAR の分解能といった、長く使うために必要な数字は現時点で公開されていない。オープンソースであっても、消耗部品が入手できなければ手元で直せない。
日本のメイカーや教育現場から見ると、この価格帯で sim-to-real の一式が手に入ることの意味は小さくない。ロボティクスの学習教材はこれまで、シミュレーションだけで完結するか、実機はモーション再生にとどまるかの二択に寄りがちだった。Microduck は、その中間にある「学習した方策を実機で転ばせてみる」経験を、部活動や個人の予算で試せる位置に置いている。