産業と実装

Universal Robots親会社、中国JAKAのドイツ法人を欧州統一特許裁判所へ提訴。協働ロボットの調達に法的リスク

Teradyne Robotics が、中国の協働ロボットメーカー JAKA のドイツ子会社を欧州統一特許裁判所(UPC)コペンハーゲン地方部に提訴した。対象は Zu / Pro / S / AL / A / Mini の各シリーズ。同社は2026年2月にも Elite Robots のドイツ法人を提訴し、4月に仮処分を得ている。

Universal Robots の親会社である Teradyne Robotics が、中国の協働ロボット(cobot)メーカー JAKA のドイツ子会社を、欧州統一特許裁判所(UPC)のコペンハーゲン地方部に提訴した(The Robot Report)。

(The Robot Report)

争点はハードウェアとソフトウェアの両面にわたる複数の特許で、対象製品として JAKA の Zu シリーズ(Zu3、Zu5、Zu7、Zu12、Zu18、Zu20、Zu30)、Pro シリーズ(Pro5、Pro12、Pro16)、および S / AL / A / Mini の各シリーズが挙げられている。Teradyne 側は、これらが Universal Robots の UR シリーズおよび e-Series の保護技術を侵害していると主張している。

これは現時点で係属中の主張であり、侵害が認定されたわけではない。 The Robot Report は JAKA に取材を試みたが、記事掲載時点で回答は得られていない。

2件目の提訴

Teradyne Robotics にとって、中国系 cobot メーカーへの法的措置はこれが初めてではない。2026年2月には Elite Robots のドイツ法人を著作権侵害で提訴し、4月にハンブルク地方裁判所が、争点となったソフトウェアの提供を禁じる仮処分を出している。

Universal Robots で研究開発担当副社長兼CTOを務める David Brandt 氏は「我々のロボットと JAKA のロボットはかなり似ている」と述べ、Teradyne Robotics Group プレジデントの Jean-Pierre Hathout 氏は「保護された技術を不法に複製する企業を容認することはできないし、しない」としている。

Universal Robots はデンマーク発の企業で、2005年の創業以来、協働ロボットというカテゴリそのものを作ってきた側にあたる。近年は中国メーカーが同等の可搬質量・リーチの機種を大幅に安い価格で投入しており、価格競争が激しくなっている。今回の一連の提訴は、その競争を知財の土俵に移す動きとして読める。

導入側にとって何が変わるか

日本の製造現場で cobot を検討する立場から見ると、この件は「海外の訴訟」で片づけられない。

第一に、供給継続性のリスクだ。 UPC は欧州統一特許裁判所で、その判断は参加国全体に効力を持つ。欧州で販売差止が出た場合、対象メーカーの生産計画・部品調達・サポート体制は影響を受ける。日本での販売が直ちに止まるわけではないが、同じ機種を作り続けられるかは別の話になる。

第二に、調達時のデューデリジェンスの範囲が広がる。 これまで cobot の比較検討は、可搬質量・リーチ・繰り返し精度・安全規格(ISO/TS 15066 など)・価格・サポート網が中心だった。ここに「係争中の知財リスクがあるか」「代替機種への移行コストはどれくらいか」が加わる。数年単位で使う設備であれば、無視できない項目になる。

第三に、ソフトウェア資産の移植性だ。 2月の Elite Robots の件で仮処分の対象になったのはソフトウェアだった。cobot の導入では、ティーチングしたプログラムや周辺機器との連携が資産として積み上がる。メーカーが変われば作り直しになる部分がどれだけあるかを、導入前に把握しておく必要がある。

一方で、こうした提訴が価格競争そのものを止めるわけではない。中国メーカーの価格優位は製造コスト構造に由来する部分が大きく、知財の争いはあくまで「どの技術を使えるか」の線引きにあたる。導入する側にとって現実的な備えは、特定メーカーに固有の作り込みを最小限にしておくことに尽きる。


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