産業と実装

自動運転トラックのPlusAI、3度目のSPAC上場へ。評価額は33億ドルから8億ドルへ移った

Plus AutomationがSPACのTexas Ventures Acquisition III Corpと合併し上場する。2026年9月3日にSECへ提出された8-Kによれば、プレマネー株式価値は8億ドル。「6,000万ドル超のコミット済み資金」の実体は額面6,388万ドルの転換社債だった。

自動運転トラック用ソフトの Plus Automation(ブランド名 PlusAI、米サンタクララ)が、SPAC の Texas Ventures Acquisition III Corp(Nasdaq: TVA)と合併して上場する。2026年9月3日に SEC へ提出された Form 8-K によれば、プレマネー株式価値は 8億ドル。この手段を試みるのは3度目になる。

International 製トラックに SuperDrive を搭載し、Ryder の実運行に投入した I-35 の便(PlusAI)

33億ドル、12億ドル、8億ドル

2016年シリコンバレー設立。2021年5月の Hennessy Capital V 案は合併後時価総額33億ドルだったが、同年11月8日に「米国外の規制環境における最近の動き」を理由に解除された。その後2023年7月に中国事業 Plus PRC Holdings を分離し、2025年9月には残る優先株を Full Truck Alliance へ2,000万ドルで売却した(S-4/A)。2度目は2025年6月5日の Churchill Capital Corp IX 案でプレマネー12億ドル。株主総会は2026年4月24日に設定されたが、その4日前に「市場環境を理由に」解除された。

「6,000万ドル超」の中身は転換社債

プレスリリースは「6,000万ドル超のコミット済み資金と約2億3,600万ドルの信託で最大約3億ドル」と書く。8-K によれば本体は額面 6,388万8,888ドル・OID10%の上位保証転換PIKノート(手取り5,750万ドル)で、普通株のPIPEは約400万ドル。転換価額は直前5営業日の日次VWAP最安値の95%、下限5.00ドル。引受の中核は TVA のスポンサー Yorkville の関係会社である。投資家説明資料は信託の55.6%が償還される前提で組まれている。既存株主には株価条件付きで最大7,000万株のアーンアウトがある(ロールオーバーは8,000万株)。

売上2,500万ドルは、TRATON1社との契約1本

同社は「HyperFoundry で2,500万ドルを計上済み、2026年通年で4,000万〜5,000万ドルの契約済み売上を目標」とする。説明資料の注記は、その2,500万ドルが TRATON との Autonomy Acceleration Program Agreement 1本によるもので、確定契約は「現時点で1本」だと明記する。S-4 は SuperDrive からの売上は未計上、過去の売上は「わずかであるか、非継続事業ないし旧製品による」と書いていた。2025年1〜9月の純損失7,770万ドル、9月末の累積赤字6億411万ドル、従業員176人。当時の財務諸表には継続企業の前提に関する重要な疑義が付いている。

トラックは作らず、1マイル0.85ドルを取る

「我々はトラックを製造も改造もしない」。SuperDrive を TRATON、Hyundai、IVECO の工場ラインで組み込み、OEM が販売する。フリートは走行1マイル 0.85ドル を Driver-as-a-Service 料としてOEMに払い、PlusAI がその一部を取る。人間ドライバーは1マイル1.03ドル(総運行費2.34ドルの44%)だ。実績は2026年3月31日の発表にある。International 製の工場搭載車を Ryder が運用し、テキサス州ラレド〜テンプル間の I-35 を1日往復600マイル。累計7万5,000マイル超・125便超で、自律走行での経路カバー率92%(保安要員が同乗)。工場搭載車の商用ローンチ目標は2027年だ。

規制の現在地と、他社の実売

Kodiak AI の10-Qは、2026年6月30日時点で26州が無人トラックの展開を認める法を持つ一方「包括的な連邦の枠組みは存在しない」と書く。連邦側は個別免除で動く。FMCSA は同年4月15日、三角表示板を警告灯で代替する Aurora の免除申請に意見公募をかけた段階だ。日本は道路側から動く。国土交通省の資料は、新東名の駿河湾沼津SA〜浜松SA間 約100kmで深夜に自動運転車優先レーンを設け、2026年度から関東〜近畿へ広げる計画を示す。

実売はこうだ。2025年にSPACで上場した Kodiak の2026年1〜6月の売上は530万ドル(65%が Atlas 1社向け)。自社で運行網を持つ Aurora は同期間で売上300万ドル、研究開発費4億600万ドル。PlusAI の2026年営業費用計画は7,100万ドル。ソフト専業のコスト構造は一桁違う。非上場の Gatik は無人配送8万5,000件と契約済み売上6億ドル超を掲げるが、評価額は非開示だ。

同じ週、ヒューマノイドの Agility Robotics も SPAC 合併の S-4 を提出している。2025年の Kodiak、2026年の Einride に続き、ロボティクスと自律走行がこの経路に戻ってきている。


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