Waymo出身者らのBedrock Robotics、運転席無人のショベルを実案件に投入。米インフラ3現場で稼働
後付けキットで既存の油圧ショベルを自律化する Bedrock Robotics が、2026年8月17日、運転席に人を乗せない状態での実案件稼働を発表した。ネバダ州の浄水施設、テキサス州の大規模造成、120万立方ヤードの土木造成の3現場。累計調達額は3億5000万ドルを超える。
建設機械の自律化に取り組む Bedrock Robotics が2026年8月17日、運転席に人を乗せない状態での油圧ショベルの実案件稼働を発表した。ステルスを脱してから約1年での実配備となる。

同社は2024年、Waymo と Anki の出身者4名が設立した企業で、CEO は Boris Sofman 氏、CTO は Kevin Peterson 氏。Sofman 氏は Anki の共同創業者を経て Waymo でトラックの自律走行を率いた人物にあたる。自動運転で積み上げた知覚と判断のスタックを、公道ではなく閉じた工事現場に持ち込む構図になっている。
稼働している3現場
The Robot Report の報道によれば、稼働先は次の3件。
| 現場 | 元請け | 規模 |
|---|---|---|
| 浄水施設(ネバダ州) | Sundt Construction | — |
| 造成工事(テキサス州) | Champion Site Prep | 数百万立方ヤード規模の土工 |
| 土木造成 | Zachry Construction | 120万立方ヤード |
いずれも米国のインフラ案件で、実証実験ではなく請負契約の入った現場という位置づけだ。同社は人の監督下で1年間の試験を重ねた上で、運転席から人を降ろす段階に進んだとしている。
「無人」の範囲をどう読むか
ここは正確に読む必要がある。運転席に人がいないことと、人が関与しないことは別だ。同社の説明でも監督者は残っており、CTO の Peterson 氏は「システムは自分自身を監視していて、何をしているか、作業が前に進んでいるかを見ている。詰まったら本部を呼ぶ」と述べている。つまり例外処理は人に上がる設計で、遠隔での監視と介入が前提にある。
建設現場の自律化でしばしば論点になるのは、この「人がどこにいるか」の定義だ。運転席から人を降ろせば1台あたりの人件費は下がるが、監督者が何台を同時に見られるかで実際の経済性は決まる。今回の発表では、1人が何台を監督しているのか、介入がどの頻度で発生しているのかといった数字は示されていない。生産性の比較値(人が操作した場合との掘削量の差)も公開されていない。
後付けという設計判断
技術面で特徴的なのは、専用の自律建機を作るのではなく、既存の油圧ショベルに後付けする方式を採っている点だ。センサーと計算機のスイートを搭載する構成で、設置は当日中に終わり、機体側に恒久的な改造を加えない。
ただし現時点では新車を同社の本社で艤装しており、すでに現場にある年式の新しいショベルへの後付けは年内を予定する段階にある。この順序は、建機の自律化を検討する側にとって重要だ。保有機をそのまま使えるのか、買い替えが要るのかで、導入時の投資額が桁で変わる。
資金面では、2026年2月に2億7000万ドルのシリーズBを CapitalG と Valor Atreides AI Fund の共同主導でまとめ、NVIDIA の NVentures や MIT も参加した。評価額は約17.5億ドルで、累計調達額は3億5000万ドルを超える。2025年7月にステルスを脱した際の調達が8000万ドルだったことを踏まえると、1年で調達規模が4倍以上になった計算になる。
Sofman 氏は「フィジカルな経済こそが機械学習の次の大きな辺境だ」「今日すでにショベルが自律的に土を動かしているが、我々が向かっているのは、作業範囲全体を自ら差配する協調的な機械群だ」と述べている。
日本の現場から見た論点
日本の建設業では、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、担い手不足が調達の前提条件になっている。国土交通省が進めてきた ICT 施工は、マシンガイダンスやマシンコントロールを軸に「人が乗ったまま精度を上げる」方向で普及してきた経緯があり、運転席から人を降ろす発想とは前提が違う。
そのうえで参照する価値があるのは、Bedrock の後付けという選択だ。保有機を活かせるかどうかは、機械を資産として長く回す日本の中小建設業にとって、自律化を検討する際の最初の分岐点になる。監督者1人あたりの台数と介入頻度という数字が出てきた段階で、初めて損益の比較ができる。
出典
- Bedrock Robotics Launches First Fully Autonomous Excavator Deployments on Critical U.S. Infrastructure Projects(GlobeNewswire、Bedrock Robotics 公式リリース) — 2026-08-17
- Bedrock Robotics 公式サイト
- Bedrock Robotics’ first operator-free excavator deployments take off(The Robot Report) — 2026-08-26
- Ex-Waymo engineers launch Bedrock Robotics with $80M to automate construction(TechCrunch) — 2025-07-16