ハンドルもペダルも省いたCybercab、オースティンで営業開始。同日NHTSAが適合認証の監査に着手
Teslaが2026年9月3日、ハンドルもペダルもない2人乗りCybercabの商用運行をオースティンで始めた。NHTSAは同日、全FMVSS適合という自己認証の根拠を調べる監査照会AQ26002を開いた。Zooxが8基準の免除を得て台数上限を受け入れたのとは、別の経路をとったことになる。
2026年9月3日、Tesla はテキサス州オースティンで少数の Cybercab を使った商用運行を始めた。2人乗りで、ハンドルもアクセル・ブレーキペダルもミラーもない。同じ日、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、Tesla がこの車を「適用されるすべての連邦自動車安全基準(FMVSS)に適合する」と認証した根拠を調べる監査照会 AQ26002 を開いた。

NHTSAが問うのは「どの基準を適用外と判断したか」
AQ26002 の調査概要によれば、きっかけは「公開情報」、件名は「Tesla Cybercab FMVSS Certification」、対象は推計1,000台。Tesla は運行開始と全 FMVSS への適合認証を NHTSA に通知し、台数と地域を段階的に広げる計画も伝えた。車両については「恒久的に取り付けられた従来型の手動操作系(ブレーキペダル、アクセルペダル、ハンドル、ミラーなど)を欠く」と記す。
NHTSA が調べるのは、Tesla が認証で依拠した手順と技術データだ。そのうえで「Tesla の認証が、特定の FMVSS は Cybercab に適用されないという判断にどこまで依存していたか」を検討するとしている。形式は、欠陥調査で使われる予備評価(PE)ではなく、認証そのものを対象にした監査照会である。
米国は自己認証。基準の文言はハンドルのある車を前提に書かれてきた
米国では、国が車の型式を事前に承認しない。NHTSA 自身が Zoox への免除許可通知で、メーカーが全 FMVSS への適合を自己認証し、不合理な安全リスクがなければ、自動運転システム(ADS)を積んだ車の公道走行を禁じる規定は安全法にないと説明している。
問題は基準の文言にある。NHTSA は2022年3月の最終規則で乗員保護の200番台基準を改め、「運転席」「ハンドル」を前提にした用語を手動操作系のない車にも当てはまるよう整理した(2022年9月26日施行)。ただし同規則の注記は、100番台など対象外の基準にも別途改正が必要になりうる、part 555 の免除がない限り、と書いている。
その100番台、つまり衝突回避系の手当ては2026年に入って提案が続いた。3月16日に FMVSS 102(変速位置表示)と103・104(霜取り・ワイパー)、4月1日に110(タイヤ表示ラベル)、6月に135(乗用車ブレーキ)。103・104 の提案規則は、手動操作系のない ADS 車は手動操作系に関する要件による「規制上の障壁に現在直面している」と書き、適用は最終規則の公布から180日後に製造される車両からとする案を示す。7月31日の AV Framework 更新通知の時点で、これらはいずれも提案段階にある。
Zooxは8基準の免除を取り、Teslaは適合を届け出た
比較の軸になるのが Amazon 傘下の Zoox だ。NHTSA は2026年7月28日付で、Zoox のロボタクシーに FMVSS 8基準の一部免除を認めた。対象は103、104、108(灯火)、111(後方視界)、135(ブレーキ)、201(内装衝撃)、205(窓ガラス)、208(乗員衝突保護)。期間は2年で、商用展開は12カ月あたり2,500台まで。この上限は 49 U.S.C. 30113 が定める。乗客を乗せる ADS 車両に一般免除が出たのは、これが初めてだという。

| Zoox ロボタクシー | Tesla Cybercab | |
|---|---|---|
| 連邦での位置づけ | part 555 による8基準の一部免除 | 全 FMVSS への適合を自己認証 |
| 台数の枠 | 12カ月あたり2,500台、期間2年 | 免除ではないため上限はかからない |
| NHTSA の関与 | 条件付き許可、年次報告など | 監査照会 AQ26002(推計1,000台) |
NHTSA は同じ許可通知で、免除は「恒久的な展開の道筋を意図したものではなく、それには規則制定が必要だ」と書いた。通知には、Zoox がかつて自己認証を主張し、NHTSA の特別命令と監査照会を受けた経緯を指摘する意見も記録されている。自己認証から免除へ移った前例が、すでにある。
テキサス州の認可は「連邦基準への適合」を申告させる
州の側は2025年の SB 2807 で制度を組み替えた。人や貨物を運ぶ商用の自動運転には州自動車局(TxDMV)の認可が必要で、執行は2026年5月28日から始まった。申請者は、車両が「連邦自動車安全基準を含む、適用される連邦法に適合した ADS」を搭載していることを書面で認める。ほかに記録装置、ADS 故障時にミニマルリスク状態へ移行できること、登録と保険、州公安局(DPS)への緊急対応計画の提出が求められる。
ADS が作動している間は ADS が運転者とみなされ、人間の運転免許は要らない。TxDMV の告知によれば手数料はなく、認可に期限もない。公衆を危険にさらす運行や重傷を伴う事故があれば、TxDMV は認可を停止・取り消しできる。連邦基準への適合は、州では申請者の申告として扱われる。
Teslaの資料が示す、量産までの段階
Tesla の2026年第1四半期アップデートは、Cybercab が「2026年に量産開始の予定どおり」と書いていた。7月22日に公表された第2四半期アップデートでは、ギガファクトリー・テキサスで生産が始まり、年産能力は12万5,000台超とされる。公道での技術試験走行と、7月からの工場敷地内での従業員向け乗車も始まった。一方、同じ資料の見通し欄で「2026年に生産開始の予定どおり」とされたのは Tesla Semi と Megapack 3 で、Cybercab の名はそこにない。資料は、設置済みの能力は実際の生産速度と等しくないと注記し、目先の増産を制約する主な要因として電池パックの生産能力を挙げている。
運行開始日を発効日とする Cybercab の「Compliance and Safety Information」は、FMVSS がオーナー向け資料に載せるよう求める情報をすべて含むとうたう。ブレーキ故障の表示が出たときの指示は「ブレーキペダルを装備している場合は踏み続けて停止し、そうでなければ乗車をキャンセルして運行を止める」。操作する人を前提にしない車の取扱説明が、どう書かれるかの一例である。
同じ週、Waymoは14都市目までを開いた
Waymo は9月1日、デンバー、サンディエゴ、タンパで一般の乗客を受け入れ始め、完全自動運転の運行は14都市になったと発表した。その1週間前の8月26日の投稿では、2億マイル超の完全自動運転の経験から「カメラは優れているが、それだけでは足りない」とし、純粋なエンドツーエンドのニューラル構成は「ブラックボックス的な失敗の危険を抱える」と書いている。
NHTSA は AQ26002 の結論の時期を示していない。欧州では Pony.ai が都市ごとに許認可を積み上げている。米国では、規則改正が確定する前に、1台の車の設計が連邦基準の文言そのものを試している。
出典
- OVSC Resume: AQ26002 Tesla Cybercab FMVSS Certification(NHTSA) — 2026-09-03
- The Future Has Arrived | Cybercab(Tesla 公式 YouTube) — 2026-09-03
- Cybercab Compliance and Safety Information(Tesla) — 2026-09-03
- Q2 2026 Update(Tesla 投資家向け資料) — 2026-07-22
- Q1 2026 Update(Tesla 投資家向け資料) — 2026-04-22
- Zoox—Grant of Temporary Exemption From Portions of Various Requirements of the Federal Motor Vehicle Safety Standards for an Automated Driving System-Equipped Vehicle(Federal Register / NHTSA) — 2026-07-31
- AV Framework Updates and Request for Comments on Interim Guidance(Federal Register / NHTSA) — 2026-07-31
- Modernization of FMVSS No. 103 and FMVSS No. 104 To Accommodate ADS-Equipped Vehicles(Federal Register / NHTSA) — 2026-03-16
- Occupant Protection for Vehicles With Automated Driving Systems(Federal Register / NHTSA) — 2022-03-30
- 49 U.S.C. 30113 General exemptions(GovInfo)
- S.B. No. 2807 Enrolled(Texas Legislature) — 2025
- Automated Vehicles Regulatory Program(Texas Department of Motor Vehicles)
- Texas Rolls Out Authorization System for Commercial Automated Motor Vehicles(TxDMV) — 2026-04-21
- Welcoming our first riders in Denver, San Diego, and Tampa(Waymo 公式ブログ) — 2026-09-01
- 10 AI Lessons from Driving 200+ Million Fully Autonomous Miles(Waymo 公式ブログ) — 2026-08-26