産業と実装

Pony.aiとUber、欧州5都市に2,000台超のロボタクシー。公表済みの都市はザグレブ1つ

Pony.aiとUberが2026年8月13日、欧州5都市に2,000台超のロボタクシーを展開する提携拡大を発表した。確定しているのはザグレブ1都市のみで、残る4都市も時期も未公表。EUの型式認証はロボタクシー用途をまだ小規模枠に留めている。

自動運転の Pony.ai(NASDAQ: PONY、広州)と Uber が2026年8月13日、欧州5都市に2,000台を超えるロボタクシーを展開する提携拡大を発表した。中東での計画も含む。ただし発表文にある都市名はクロアチアのザグレブ1つだけで、残る4都市も台数の内訳も時期も書かれていない。

Pony.ai と Uber の提携拡大(Pony.ai)

「2,000台」は契約であって、稼働予定表ではない

SEC に提出された2026年第2四半期決算では、この2,000台超は「契約済みの配備(contracted deployment)」と書かれている。交渉中を含む国際市場の総数は「4,000台超」。どちらも期限はない。

配備の形は「joint deployment model」と呼ばれ、Pony.ai が L4 技術、Uber が配車・決済・サポート、日々の車両運用は市場ごとの現地フリート事業者が担う。Pony.ai の 6-K は「車両の資金調達と保有は市場によって異なるパートナーが担いうる」と書く。2,000台の車両代を誰が出すかは決まっていない。

ザグレブは安全オペレータ同乗のまま、8月19日にUberアプリへ

ザグレブは Rimac Group 傘下の Verne が車両を保有・運行し、2026年4月8日に商用開始した。運行区域は空港を含む約90km²、7時から21時。車両は BAIC の Arcfox Alpha T5 に Pony.ai の第7世代(Gen-7)システムを載せたものだと3社の共同発表にある。

ただし Verne は初期段階では訓練を受けたオペレータが同乗するとし、Uber アプリでの配車が始まった8月19日のリリースも「段階的導入の間は免許を持つオペレータが運転席から監視する」とする。商用ではあるが無人ではない。Verne は EU・英国・中東の11都市で許認可協議に入っている。

EUの型式認証は、ロボタクシーをまだ量的に想定していない

EU で完全自動運転車の自動運転システム(ADS)を型式認証する手続きは実施規則 (EU) 2022/1426 が定めるが、対象は3用途(区域内運行、拠点間の固定ルート、自動バレーパーキング)に限られる。2026年3月3日の実施規則 (EU) 2026/481 が年1,500台の少量生産枠を撤廃したのは自動バレーパーキングだけで、ロボタクシーの枠は残る。

実務は各国制度に依存する。ドイツは AFGBV のもとで KBA が運行設計領域(ODD)を含めて認証し、運行区域の許可は州の当局が出す。英国は Automated Vehicles Act 2024 のもとで自動旅客サービスの許可規則が2026年5月15日に施行され、許可は最長5年、全面施行は2027年後半とされる。5都市とは、5通りの許認可を別々に取るということだ。

GDPR、AI Act、EV関税——中国企業が欧州で払うコスト

Pony.ai は 2025年度の Form 20-F で欧州の規制コストを自ら列挙する。GDPR ではルクセンブルクのデータ保護当局 CNPD の「サンドボックス・プロジェクト」に参加中で、重大な違反の制裁金は全世界年間売上の4%まで。欧州委員会が2024年8月21日から中国製 EV に課す17.0〜36.3%の追加関税も同じ20-Fにあり、中国生産の Arcfox を持ち込む構成に効く。中国側でも測量・地図製作に関する法令が、車両の集める地理情報に資格要件と越境移転の制限をかける。摩擦は知財の側からも来る。

実績側は2026年3月31日時点でロボタクシー1,400台超、累計自動運転走行距離65.0百万km。第2四半期末の車両数は1,975台で年末3,500台超が目標、広州は2025年11月、深圳は2026年2月に都市単位のユニットエコノミクスが損益分岐に達したとする。一方、第2四半期の総売上3,620万ドルに対し営業損失は6,570万ドル。欧州の2,000台を自社資本で買う体力ではない、という前提が joint deployment model に表れている。契約済み売上を先に積む進め方とは、資金の出所が違う。

東京では日産・Wayve・Uber が先に動いている

Waymo は2025年10月にロンドンでの完全無人サービスを2026年に始めると発表し、フリート運用は Moove が担う。Uber は複数社と並行して組み、ドバイでは百度の Apollo Go を自社アプリに載せている。

日本では Uber が2026年3月11日に Wayve・日産と MOU を結び、日産リーフに Wayve の AI Driver を載せたロボタクシーを2026年後半に東京で試験導入する計画を示した。当初は安全オペレータが同乗する。Pony.ai も2025年11月に PONY.AI 株式会社 を設立済みだ。日本のレベル4は道路交通法の特定自動運行許可(2023年4月施行)で、都道府県公安委員会が運行区域ごとに許可を出す。都市ごとに取り直す構造は欧州と同じだ。

ロボタクシーの発表はしばらく「何台」で語られる。その数字が契約なのか、認証済みの車両なのか、実際に客を乗せている台数なのかは分けて読む必要がある。今回の2,000台は1つ目にあたる。


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