産業と実装

米FCCの移動ロボット規制、MassRobotics調査で賛否が43%対43%に割れる。分かれ目は製造拠点

ボストンの非営利ロボティクス拠点 MassRobotics が会員14社に実施した調査で、FCC の Covered List 追加を「有益」とした企業と「有害」とした企業がともに43%で割れた。米国内製造の企業は全社が有益と回答。対象は重量4.4ポンド超・200kbps以上の通信を持つ地上移動ロボット。

ボストンの非営利ロボティクス拠点 MassRobotics が、米連邦通信委員会(FCC)による移動ロボットの輸入規制をめぐる会員企業アンケートの結果を公開した。回答14社のうち、規制を「有益」と見た企業と「有害」と見た企業がともに43%。分かれ目は、どこで製造しているかだった。

FCC規制に対する評価の内訳(MassRobotics、n=14)

43%対43%、米国内製造の企業は全社が「有益」

調査は2026年8月17〜23日にレジデント・スタートアップと法人スポンサーを対象に実施され、8月31日に公開された。内訳は「非常に有益」7%、「有益」36%、「影響なし」14%、「有害」36%、「非常に有害」7%。MassRobotics は、米国内で全部または大半を製造する企業は全社が「有益以上」、海外で製造する企業は全社が「影響なし」以下だったとしている。

影響はロードマップに強く出た(「中程度」36%・「深刻」21%)。資金調達は「大きくない」が43%だが、両極端はこちら側にあり、国内調達済みで追い風と答えた企業と、本社の米国移転が必要で深刻な打撃と答えた企業が同居する。オンショアリングは「計画はあるが未着手」が29%だった。

FCCが7月28日に載せたのは「外国で製造された先進ロボット装置」

2026年7月28日、FCC 公共安全・国土安全保障局は Public Notice DA 26-786(WC Docket No. 18-89 ほか)で、Covered List に「外国製の先進ロボット装置」と「外国製のパワーインバータ」を追加した。根拠は2019年の Secure and Trusted Communications Networks Act(47 U.S.C. §1601)。決定は7月27日にホワイトハウスが招集した省庁横断の安全保障当局が出したもので、FCC には実施義務がある。

同文書 Appendix C の定義は具体的だ。地上を移動する機械装置(自律移動ロボット、ヒューマノイド、四足)で、本体と地上局・充電ドックの合計重量が4.4ポンド(約2.0kg)超、かつ①環境を知覚するセンサー、②いずれかの方向で200kbps以上の通信、③自律走行や知覚、データ収集、遠隔指令を制御するソフトウェア(AIモデルの重みを含む)をすべて備えるもの。コネクテッドカー、鉄道車両、無人航空機、医療機器、そして多関節・デルタ・ガントリー・SCARA など据え置き型の産業用ロボットは除外された。

「外国製」の線引きは、米調達規則の65%ルールに紐づく

決定文は「foreign-produced」を、米連邦調達規則(FAR)48 CFR 25.101(a) の “domestic end product” に当たらないもの、と定義する。同条項は米国内での製造に加え、国内部品コストが全部品コストの65%(2029年納入分からは75%)を超えることを求める。製造者の国籍は問われない。

効き方は機器認証にある。掲載機器は新規の FCC 機器認証を取得できない(47 CFR §2.903(a))。認証済みモデルの販売や購入済み機器、連邦政府調達には影響せず、同日の DA 26-789 で認証済み機器へのソフトウェア更新禁止も2029年1月1日まで免除された。例外を得る道は国防総省の Conditional Approval だが、調査では、その要件が分からない、同盟国と中国の調達を区別してほしい、という声が繰り返し出た。

詰まるのはモーター・電源・ロボットアーム

国内調達の難所として名指しされたのは、モーター、センサー、電源/DC-DCコンバータ、ロボットアーム。「手頃な価格の電源や DC/DC コンバータは事実上すべて東アジア製」という回答があり、定義が広がれば安価なロボットアームが最大の露出になるとの指摘もあった。最も多かった要望は「審査済みの国内サプライヤー網」で、法規制ガイダンス、移行期間の延長(1社は約18か月)、規則の撤回が続く。

MassRobotics は2015年設立の非営利組織で、理事長は Amazon Robotics の Tye Brady、理事に iRobot 創業者 Colin Angle と MIT CSAIL 所長 Daniela Rus が並ぶ。n=14 は小さいが、当事者の反応を数字で開示した例は少ない。

日本のメーカーと部品サプライヤーに何が要求されるか

規制が生産地で線を引く以上、日本で製造して米国に出す移動ロボットは中国製と同じ扱いになる。新機種を投入するなら、米国内製造+国産部品比率65%(2029年以降75%)を満たすか、国防総省の Conditional Approval を取るかが要る。既存機種の販売継続には当面影響しないため、次の機器認証をいつ出すかが実質的な期限になる。直撃するのは AMR、四足、ヒューマノイド、清掃・配送・点検ロボットの領域だ。大田区のような部品供給側の中小製造業も、米国向け完成品に入る部品の原産地とコスト比率を問われうる。

協働ロボットでは、Universal Robots の親会社が中国 JAKA のドイツ法人を欧州統一特許裁判所へ提訴した件のように、知財が調達リスクとして先行していた。そこに機器認証という別系統の関門が重なった。


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